ウサギの神経疾患について

こんにちは、院長の岡本です。

今回は日本臨床獣医学フォーラム主催のレクチャーシリーズで

三輪先生によるウサギの神経疾患について聴講しました。

 

 

ウサギの神経疾患はまれではなく、しばしば遭遇します。

症状には、斜頸、眼振、頭振、振戦、運動失調、四肢不全麻痺、

後躯不全麻痺、開帳脚、発作や行動の変化などです。

 

しかしながら、炎症性疾患が原因として多いので注意が必要とのことでした。

 

ウサギの神経疾患にはエンセファリトゾーンによる感染症が有名です。

私も、神経疾患の症例に対しエンセファリトゾーン感染症を疑い投薬を開始していました。

しかしながら、エンセファリトゾーン以外の原因もあるのでしっかり見ないといけないとのことでした。

神経疾患は、MRIやCTによる診断が必要なこともあり、

またこれだけでは確定診断に至らないこともあるので生前診断は非常に難しいとのことです。

今後の情報の蓄積や医学の進歩に期待しなければなりません。

 

そして、今回私が最も大事だと思ったことは、神経症状を示したウサギちゃんに対しての介護の仕方です。

突然、かわいがっていたウサギちゃんがある日突然くるくる回ったり、

歩けなくなったりするわけですからオーナー様もパニックになりますよね。

当然ウサギちゃんもパニックになっていますので、

今の状態にオーナー様も慣れてもらい、ウサギちゃんにもなれてもらわないとなりません。

姿勢はそのまま自由にして、ケージに足をはさんだりしないように工夫しないとなりません。

食事や飲水ができるように工夫し、グルーミングができないのでオーナーが手伝ってあげましょう。

 

2021.10.01 Friday| 09:35comments(0)| by ☆ミケミ☆

認知機能不全症候群(認知症)についての講義を受けました。

こんにちは、院長の岡本です。

今回はヒルズ主催のセミナーで、

“「先生、眠らせてください」にどう対処しますか? 認知機能不全症候群のアップデート”

ということで、行動学の入交先生の講義をご紹介します。

 

動物も人間と違わず、長寿になりました。

長寿になると、癌や心臓病などの病気も増えるのですが、

認知症(認知機能不全症候群)もよく見るようになりました。

犬や猫の認知症は11歳以上で約3割の子が罹患しているようで、決して無視できない重要な問題です。

 

この認知機能の低下はそれぞれの項目の頭文字をとってDISHAA(ディーシャ)とよばれ、

評価用のシートもあります。

 

10歳以上のわんちゃん猫ちゃんのオーナーの方は一度チェックすることをお勧めします。

過去のブログ(http://blog.sukoyaka-ah.com/?eid=1116486)でも紹介しています。

最も重要なことは、認知症は徐々に進行し治らないことです。

そして、診察室で獣医師が認知できないということです。

要するに、認知症の初期症状は行動の変化です。

これは普段動物と接しているオーナー様しかわからないことであり、

高齢だからこんなものかと容認している(=普通だと思っている)からです。

行動の異常は獣医師にしっかり伝えましょう。

 

また、DISHAAの評価シートを使い、異常があれば獣医師に相談すると良いでしょう。

軽度の症状であれば、抗酸化作用のあるサプリメントのみで非常に快適になったり、

症状が改善したり、進行を遅らせたりすることが可能です

(私個人としても効果は実感していますのでかなりお勧めです) 。

残念ながら症状が進行し、夜泣きがひどくなり、睡眠不足や近所迷惑などといったことで

どうしようもなくなって(飼い主様が精神的・肉体的にも耐えられなくなって)から、

私たち獣医師に相談されることがあります。

 

ここから、健康な状態には戻すことは困難なので早め早めの対応がお勧めです。

もちろん、ここ数年で色々と良いサプリメントや治療薬が出ているので

あきらめずに治療することも可能ですし、場合によっては症状が落ち着くことがあります。

ペットと暮らす生活が、最後まで幸せであることが最善ですので飼い主様が疲れてしまう前にご相談ください。

2021.08.20 Friday| 08:45comments(0)| by ☆ミケミ☆

2月17日に神経病(MRI)のWEBセミナーを聴講しました。

こんにちは、院長の岡本です。

皆様により良い医療が提供できるよう、

休日や診療後になるべく多くの勉強会に出るよう心掛け日々精進しています。

私が参加した勉強会の一部を皆様に紹介します。

 

今回は動物検診センターキャミック主催の神経症例のMRIについて勉強しました。

当院ではMRI装置はないのですが、よくMRI症例を紹介し診てもらうことが多いので聴講することとしました。

講師は日本獣医生命科学大学の長谷川先生で、日本を代表する神経科のエキスパートの1人です。

MRIの読影には専門的な知識が必要であり、その内容や治療も日々アップデートされていると感じました。

 

最近ではMRIも比較的近所で撮影してもらえることができるようになってきました。

それにより症例もたくさん集まり、多くの論文も報告されるようになりました。

そしてMRIの機器も年々改良されており、この分野はさらに発展しそうなので、定期的に勉強していきたいと思いました。

 

2021.02.18 Thursday| 20:03comments(0)| by ☆ミケミ☆

12月2日にてんかんの治療についてのWEBセミナーを聴講しました。

こんにちは、院長の岡本です。

皆様により良い医療が提供できるよう、

休日や診療後になるべく多くの勉強会に出るよう心掛け日々精進しています。

私が参加した勉強会の一部を皆様に紹介します。

 

今回は前回に続き、日本獣医生命科学大学の長谷川先生の

抗てんかん療法についてのWEBセミナーを聴講しました。

てんかんは適切に治療し、症状がコントロールできれば寿命は全うできます。

しかしながら、てんかん発作の中で「重積」と呼ばれる状態になると、それは致死的で緊急状態です。

一刻も早く積極的な治療が必要になります。

 

てんかん発作の重積とは、1回の発作が5分以上続く場合、

あるいは意識の回復なしに2回以上の発作が続くことを言います。

 

重積は初期の10分では脳に損傷が起こらないように体の機能が代償して働きますが、

30分以上たつと代償できなくなり、重度の全身性合併症や脳損傷を引き起こし、死に至ることがあります。

重積状態では積極的な治療が望まれますが、その多くは病院で受けなければならないことが多いです。

実際には、発作は自宅で起こることがほとんどで、すぐに病院で手当てができないこともあるでしょう。

 

そんな中、緊急対応として自宅で発作が起きたら座薬を使うように指示された方は多いのではないでしょうか?

座薬を使うことにより今起きている発作を抑え、

また次回起こるかもしれない発作を予防する効果が期待されます。

(24時間以内に発作が2回以上起こることを群発発作といい、群発発作は重積になる可能性が高いといわれるため、

抗てんかん薬を投与中にもかかわらず、発作が起こった時は

積極的に抗てんかん療法を追加した方が良いとされる理由です。)

 

しかし、この座薬があまり効かないとか、便と一緒に出てきてしまうとか、

効果に疑問を持つことがしばしばあります。

そんな中、最近は抗てんかん薬の鼻腔内投与(鼻から薬剤を注入)が注目されています。

鼻腔内投与はヒトで推奨されており、血管も鼻腔内には多く、

また脳にも近いことから効きやすいといわれており、有効性も証明されています。

ただ、動物の場合はヒトと違って鼻の穴が小さく薬液量も少ないことから、投与するのにコツがいります。

 

当院でも鼻腔内投与を実施しています。

鼻腔内投与はオーナー様の評判も良く、慣れてしまうと座薬よりも簡単とのお話を伺います。

 

2020.12.13 Sunday| 22:12comments(0)| by ☆ミケミ☆

12月1日にてんかんの治療についてのWEBセミナーを聴講しました。

こんにちは、院長の岡本です。

皆様により良い医療が提供できるよう、

休日や診療後になるべく多くの勉強会に出るよう心掛け日々精進しています。

私が参加した勉強会の一部を皆様に紹介します。

 

今回は日本獣医生命科学大学の長谷川先生の

抗てんかん療法についてのWEBセミナーを聴講しました。

てんかんは適切に治療し、症状がコントロールできれば、寿命は全うできます。

やっと最近になって、犬のてんかんの第一選択薬として

ゾニサミドというお薬が使われるようになってきました。

ゾニサミドが第一選択薬になっているのは、効果が高いのはもちろんですが、

同時に安全性がとても高いからです。

 

それまでは、フェノバルビタールが第一選択薬だったのですが、ゾニサミドに比べると、

食欲が増したり、肝障害が出たりと副作用が決して少ないとは言えないお薬でした。

 

しかし、欧米ではまだ、フェノバルビタールを第一選択薬として認知しているところもあり、

ゾニサミドが第一選択薬として世界の標準治療になるにはもう少し時間がかかるかもしれません。

もちろん、海外の専門医の中にもゾニサミドを第一選択薬として薦めている方も多く存在します。

てんかん治療薬としてとても有用なゾニサミドがこのような立場になっているかというと、

ゾニサミドという薬が日本で開発された薬だったからです。

日本発の薬剤は欧米ではあまり使われないことが起因して使用がためらわれたためです。

薬が使われない=情報が少ない(論文が少ない)=有効性が疑問、

という理由だけでてんかんにゾニサミドが効かないわけではありません。

 

実は私が開業前に働いていた渡辺直之先生(静岡県島田市)は神経病のエキスパートで、

特にてんかんについて研究していました。

このゾニサミドについても20年以上前から有効性に気づき論文を発表しています。

 

当時はなかなかゾニサミドを積極的に使おうとする風潮がなく、

フェノバルビタールが無効なら次にゾニサミドに切り替えるという感じでした。

 

現在はそのようなこともなく、第一選択薬としてゾニサミドが使われるようになっています。

しかしながら、ゾニサミドが効かない症例もあり、

フェノバルビタールに切り替えて良くなる症例も経験します。

どうしてそうなるかはわかっていませんが、万人に効くという薬もなく試してみなければわかりません。

 

また、ゾニサミドがよく効くことから

猫にゾニサミドを使用してコントロールできないという方がいられますが、

猫にゾニサミドはあまり効かなく第一選択薬となりえません。

猫は小さな犬ではないので、気を付けなければなりません。

2020.12.13 Sunday| 22:05comments(0)| by ☆ミケミ☆

9月19日に認知症についてのWEBセミナーを聴講しました。

こんにちは、院長の岡本です。

皆様により良い医療が提供できるよう、休日や診療後になるべく多くの

勉強会に出るよう心掛け日々精進しています。

私が参加した勉強会の一部を皆様に紹介します。

 

今回は認知機能不全(認知症)について、

行動学の入交先生の講義を聴講しました。

 

一昔前に比べ、わんちゃん猫ちゃんも長寿になりました。

そのため、ヒトと同様に認知症が増えています。

人に比べ、その症状が認知症かどうかということがわからないことが多く

初期症状を見逃している可能性が多々あります。

 

実際の診療ではかなり末期になってから来院されるケースがあり、

夜泣きなどでオーナーが苦しんでどうしようもなくなって来院されることも珍しくはありません。

認知症は進行します。

いかに、進行を遅らせ、健康な状態を維持するかということが大事だと思います。

 

そのためには、早期に診断し治療を開始するのが良いでしょう。

診断の助けになるのに評価シートがあり、

自分たちでできるので高齢の子がいたらチェックしてみるといいでしょう。

初期治療は難しいものではなく、栄養や運動が大切です。

意外とサプリメントも有効で、脳に良いとされている物質は解明されているものがあります。

都合のいいことにそれらが全部入っているサプリメントもありますので、

まず試してみるとよいでしょう。

 

加齢とともに悪化しうるので、その場合は薬剤に頼ることもあります。

末期になると管理が大変になるので、なるべく早期に発見し治療を開始することがお勧めです。

ただ長生きではなく、健康である時間を長くさせていきたいですね。

2020.09.26 Saturday| 07:06comments(0)| by ☆ミケミ☆

9月16日に神経(てんかん)のWEBセミナーを聴講しました。

こんにちは、院長の岡本です。

皆様により良い医療が提供できるよう、

休日や診療後になるべく多くの勉強会に出るよう心掛け日々精進しています。

私が参加した勉強会の一部を皆様に紹介します。

 

今回は、日本獣医生命科学大学の長谷川大輔先生の

「動画で見るてんかん発作とその鑑別」を聴講しました。

講義は色々な神経症状の症例を動画で見せていただけるので、非常にわかりやすかったです。

てんかんについては、私が以前働いていた渡辺動物病院の渡辺院長がてんかんの第一人者であったため、

多くを勉強させていただきました。

勉強といっても院長はとても忙しいので、直接教えていただくわけでもなく自分で勉強しなければなりません。

教科書ではもちろん動画もなく、言語だけで症状を理解するのは非常に難しいことでした。

 

今回、WEBセミナーは非常にわかりやすいものでした。

この講義を聞いて「てんかん」を理解できた先生がいたとしたら随分便利に、そして楽になったと感じます。

当時の私の苦労がたった1時間で済むのですから。

そんなことを考えると当時の苦労がよみがえります。

私が勤務医をしていたころMRIはごく限られた施設でしかなく、

そのためMRIを撮影するために東京にある日本獣医生命科学大学まで行っていました。

夜勤明けに車を運転していました。

今では、色々問題になりそうですがそんな時代です。

 

大学では、今回講義をしていただいた長谷川先生がMRIを撮影して下さいました。

また、神経疾患を勉強していた関係でICU Bookという

救急治療マニュアルの神経疾患の章の翻訳にも携わらせていただくことができました。

 

苦労も多かったですが、身についたことも多かったと思います。

若いときに経験したことはなかなか忘れられないものです。

2020.09.16 Wednesday| 23:10comments(0)| by ☆ミケミ☆

12月15日に神経ブロック(鎮痛)の勉強会に行ってきました。

こんにちは、院長の岡本です。

皆様により良い医療が提供できるよう、休日や診療後になるべく多くの勉強会に出るよう

心掛け日々精進しています。

 

私が参加した勉強会の一部を皆様に紹介します。

 

今回は夜間動物病院主催のセミナーで、鎮痛方法である

神経ブロックの勉強会に参加してきました。

 

神経ブロックは手術に先んじて行う処置で、強力な鎮痛効果が得られます。

 

人では既に一般的である処置方法ですが、動物も同様、鎮痛を行うことが推奨されています。

言葉を話すことができない動物にとっても、やはり痛いものは“痛い”です。

 

私たち獣医師もなるべく痛みが緩和できるように

手術前から手術後に至るまで、痛み止めを使うようにしています。

 

痛みが起きる前から痛み止めを使うことによって、

痛みが軽減される先制的な鎮痛は重要です。

 

その中で、最も強力なのが神経ブロックです。

目的とする領域の神経に直接麻酔することで、強力な鎮痛効果を得ることができるというものです。

高い技術レベルを必要としないものから、専門的な技術を要するものまで

幅広くありますが、必要に応じ実践していきたいと思います。

 

2019.12.20 Friday| 11:42comments(0)| by ☆ミケミ☆

12月5日に神経科の勉強会に行ってきました。

こんにちは、院長の岡本です。

皆様により良い医療が提供できるよう、休日や診療後に

なるべく多くの勉強会に出るよう心掛け日々精進しています。

私が参加した勉強会の一部を皆様に紹介します。

 

今回は1日かけて神経の勉強会に行ってきました。

講師の金園先生はアメリカで神経専門医の資格を取得し、今日本で大活躍されている先生です。

 

以前に金園先生の講義を受けたことがありましたが、その時の講義が理論と体系が

しっかりしていて、とても分かりやすかったので今回の講義を非常に楽しみにしていました。

 

今回のテーマは、

1.行動・歩行様式を診て考える神経学的病変部位の特定

2.神経病の見方−病院学的推察−

3.抗てんかん薬の使い方・注意点

4.猫の神経病学

 

という内容でした。

 

神経科は、とても難解でかなりマニアックな分野だと思います。

しかし、必ず理論に沿う学問ですので知る(=勉強する)しかないと私は考えています。

 

興味がないと得意にはなれない分野ですが、

一度知ってしまうとなかなか面白いものです。

私の勤務医時代に育てていただいた環境は神経疾患が多い病院(渡辺動物病院:島田市)でしたので、

神経病はとても興味がある分野です。

 

もちろん今回の金園先生の講義内容も非常にわかりやすい内容でした。

今まで学問として単に受け入れた事象も、

なぜそうなるのかという理論を踏まえたことまで

突っ込んで話をしてくれたので理解力がより一層ついたと思います。

 

2019.12.06 Friday| 20:41comments(0)| by ☆ミケミ☆

11月22日に脳神経外科の勉強会に行ってきました。

こんにちは、院長の岡本です。

皆様により良い医療が提供できるよう、休日や診療後に

なるべく多くの勉強会に出るよう心掛け日々精進しています。

私が参加した勉強会の一部を皆様に紹介します。

 

今回は脳神経外科の勉強会に行ってきました。

アメリカの神経病学専門医のクレモンス先生をお招きした国際セミナーで、

基本的な脳神経の評価法から脳神経外科のテクニックを学ぶ講義でした。

 

当院では今のところ脳神経外科の手術は行っていませんが

脳神経外科の手術手技や適応症例、治癒率、予後などを

知っておくことは患者様への情報提供になると思い参加しました。

 

クレモンス先生曰く、人に比べて動物の脳神経外科は難しくないようです。

 

腫瘍の種類にもよりますが、完治できたり、症状の改善が得られたりすることが多いので、

もし手術を迷っているような患者様がいるなら手術するのも宜しいかと思います。

 

2019.11.26 Tuesday| 21:15comments(0)| by ☆ミケミ☆

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