こんにちは、院長の岡本です。
いつもお世話になっている中野優子先生の腫瘍学の講義です。
今回のテーマは
「骨と関節の腫瘍 2021」と、「臨床徴候や検査の異常所見から腫瘍を診断できますか?」という内容です。
動物が跛行(=正常な歩行ができない状態)で来院した場合、整形外科疾患として来院する場合が多いのですが、
その中に腫瘍性疾患が紛れていることはまれではありません。
そのため、動物が跛行してしまう腫瘍疾患について説明をいただきました。
跛行する骨や関節の腫瘍の特徴を知ることはとても大切なことです。
特徴を知ることで疾患を鑑別していかなければなりません。
骨や関節にできる腫瘍は悪性のものが多いのですが、疾患により治療法や対処法が全く違うからです。
そのために、入念に疾患を鑑別しなければなりません。
新知見として、猫の骨肉腫は転移することが少なくはないということです。
教科書的には猫の骨肉腫は転移が少ないとの記載があり、
通常は外科単独で対応すべきものとされていました(術後の抗がん剤不要)。
既存の対応とは全くの別な対応をすべき事柄なのでこのような内容を知れてよかったです。
また、「臨床徴候や検査の異常所見から腫瘍を診断できますか?」では、
血液検査、特に血小板減少症の時に腫瘍疾患を見逃していないか、
肝臓や脾臓が大きい時に考えるべきこと、腹水・胸水のある時に考えるべきことを講義していただきました。
最近はエコー検査機器がとても進歩しており、診断率も向上しました。
そのためエコー至上主義みたいな雰囲気が獣医療界ではあります(あくまで個人的感想です)。
エコーでは診断できない病名まで診断する方もいます。
今回驚いたのは、正常に見える脾臓でも組織検査(細胞診)をすると
リンパ腫などの腫瘍疾患があるとのことです。
肝臓でのエコー検査の病気の検出率は非常に低い(30%程度)というのは知っていたのですが、
脾臓も診断の見逃しが起こりえるというのは本当に驚きです。
見逃しがないように今後は注意しようと思います。
また、猫の赤血球ピルビン酸キナーゼ欠損症という病気を詳しくは知らなかったので
新たな知識を取り入れられて本当に勉強になりました。