こんにちは、院長の岡本です。
今回はアメリカの小動物内科専門医を取得された小動物内科専門医であられる
佐藤佳苗先生による「消化器について」の講義です。
この講義は全部で6部に構成され、臨床獣医師が知らなければいけない
必要不可欠なことが盛り込まれている内容です。
丸1日がかりの講義でしたが、基礎的な内容ばかりのものと思っていましたが
私が知っている最新情報まで内容に組み込まれていたのでとても勉強になりました。
そしてすぐに使える内容もありましたので、当院にかかっている患者様にはすぐに還元できるかと思います。
第1部は、消化器疾患を見逃さない、消化器疾患と間違えないための講義です。
消化器疾患の症状は第一に嘔吐と下痢ですが、嘔吐と下痢を起こす病気には消化器以外の病気も多々あります。
また、嘔吐と思っても嘔吐ではなかったり、
下痢と思っても下痢ではなかったりということはまれではありません。
そんな症状に惑わされないための講義です。
第2部は、消化器の解剖と生理です。
消化器は、主に食道、胃、小腸、大腸からなります。
正常を知っていないと、病気もわかりませんからここでしっかりと復習し確認しておかなければなりません。
学生の頃から何度も聴かされている内容を含みますが、やはり復習は大事です。
第3部は、消化器兆候の病態です。
消化器に限らず、すべての病気について言えるのですが、
病気のなぜその異常が起こっているのかが理解できれば、おのずと対処法も分かりやすくなるということです。
これには、第2部の講義は非常に重要となります。
また、なぜその薬剤を使用するのか、あるいはなぜその検査を行うかなどの理解が可能となります。
第4部は、食道・胃疾患の診断・治療方針です。
嚥下障害や食道疾患を起こす病気について解説していただきました。
また、新しい報告である先天性特発性巨大食道症に対して
有効な治療法も解説していただいたので最新知見も盛り込まれていると感じました。
第5部は、小腸疾患の診断・治療方針です。
小腸疾患について様々な病気について解説していただきました。
その中で驚いたことに、以前ではIBD(炎症性腸疾患)と呼ばれていたカテゴリーが、
最近では慢性腸症という疾患群と考えられている、というように変わったということでした。
それに伴い、治療や診断方法も指針が示されるようになりました。
そして、こちらも比較的新しく認知された疾患ですが、
猫の消化管の好酸球性硬化性繊維増殖症についても触れて頂きました。
第6部は、大腸疾患の診断・治療方針です。
下痢(大腸性)、便秘、そして特異的な感染症について講義をいただきました。
トータルで朝から夜までの講義となりましたが、
1日で消化管を網羅できるとなるととても充実した内容になります。
臨床に携わる獣医師さんは、一度聴講すべき内容となっていました。