右大動脈弓遺残症の手術をしました

こんにちは、院長の岡本です。

通常診療ではなかなか遭遇しない症例を紹介致します。

 

今回は珍しい先天性疾患の症例を紹介したいと思います。

他の病院から紹介されました右大動脈弓遺残症という先天性異常です。

 

これは、血管の異常で心臓に近い異常血管が食道を絞扼する(締め付ける)ために

食べ物が胃に通過しなくなってしまう病気です。

主な症状は吐出(食道の内容物を吐き出してしまうので、胃内容物を吐き出す嘔吐とは違います)です。

 

また、食べ物が通らないので、栄養失調や発育不全を起こし、食べ物や唾液が逆流して気管に入ると

誤嚥性肺炎を起こし死に至ることもあります。

誤嚥性肺炎などの合併症がなければ外科手術でよくなることが多い病気です。

 

今回この手術が当院へ紹介されたのは、胸腔内手術であること、

麻酔の維持管理が難しいことだと思います。

 

この手術で非常に困ることは患者が幼く小さいことなのですが、

さらに栄養不良でより小さいことです。手術が行われない限り症状が改善されないので

少し大きく成長するまで待ってから手術する、ということができないのです。

 

今回は体重700gの猫ちゃんです。

人工呼吸に必要な気管チューブは3Frと、

とても細いものが何とか入る程度で麻酔管理がとても重要でした。

 

胸部外科は恩師である鷲巣誠先生に鍛え上げられているので、

その技術は今でも健在で難なく手術は終了しました。

猫ちゃんは術後から食欲旺盛で数日後には退院となりました。

 

 

抜糸時の写真、左胸の毛が刈られて痛々しいですが、元気に走り回っているそうです。

(術前のレントゲン写真は紹介先のものですので今回は載せていません。)

 

 

以前当院で手術した犬の右大動脈弓遺残症のレントゲン写真。

黄色の矢印の部位が拡張した食道です。

 

食物が通過できないため食道が拡張(通常レントゲンでは食道は写りません)しています。

この症例は、吐出がひどく著しい栄養失調のため低血糖による昏睡にて来院されました。

その時の体重は400gです。

 

中心静脈による高栄養輸液で意識は回復しましたが、サラサラの流動食でさえ

吐出してしまい、体重が370gまで落ちてしまいました。

 

とても小さいため、術前の採血でさえできない状態でしたが、

手術を決行し今では体重9圓砲泙農長しています。

 

わんちゃんの生きるという生命力が勝った結果だと思います。

共に手術を乗り越え、元気に生きていてくれて感謝です。

 

2020.07.29 Wednesday| 23:15comments(0)| by ☆ミケミ☆
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